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【キレイの瞬間】女が女に一目惚れ!#1

 

彼女と私は同期入社。


内向的な私とは違って彼女はいまや営業部でも一目置かれる存在。
持ち前の強気な性格で、男性社員にも引けを取らない成績を上げて毎日頑張ってる。

そうかといって、お高く留まっているわけでもなく、
誰に対しても変わらずに、気さくに話しかけてくれる優しい彼女は社内の人気者。

今思えば、初めて会った時から、私は美咲に一目惚れしていたのかもしれない。



「昨日も終電だったの?はい、これ」


コーヒーを美咲に手渡しながら、彼女の隣に腰掛けると、
ふわりとハーバルな香りが、一瞬漂う。

最近の彼女の香りだ。



「あっ!サンキュー!」


コーヒーを美味しそうに啜る。
おいしそうにコーヒーに口をつける唇だって完璧。


何のリップ使ってるんだろう…
少しは荒れることないのかしら?


私は美咲に見とれていた。




「美咲、最近、髪キレイになったんじゃない?」

「え?そう?」


かきあげた髪からまたあの香りだ。



「最近オーガニックのシャンプーに変えたのよ。いい香りでしょ?」




典型的なキャリアウーマンファッションに身を包み、
隙などどこにも見当たらない彼女。


整った顔立ちに流行のメイク。
寝不足MAXのはずなのに、毎日髪も肌も完璧。





「最近ね、オーガニックコスメに目覚めたの。」



完全武装の美咲の顔が、ふっとはにかむような、優しげな表情でうつむいた。




「なぁに~?何かいいことあった?」


「…実は、結婚が決まったんだ…」




え?
思わずよろけそうになる私。



バリキャリ路線で行くと思ってたから、
まだまだ先かと思ってたのに、先を越された…。



「仕事は?」


「出来る限り続けるつもり。」


「そうだよね、美咲が専業主婦なんて想像出来ない。」





「これから家族ができるでしょう。

そのうち子供も欲しいと思ってるし…。

だから、二人でライフスタイルを変えて、外側からも内側からも健康を意識しようと思って。

だから彼にもなるべく自然なものをって思ってるんだ。

自分の体は、自分が与えたもので出来るんだし。」



左の薬指の、品の良い新しいダイヤの指輪をもてあそぶ様に回しながら、
はにかむ美咲。

なんかデレデレしちゃって、隙だらけだよ、今のあなた(笑)



そこにはいつもの強気な美咲はいなかった。

悔しいけど、今朝ほど美咲の顔がキレイだなと思ったことはない。



心から、おめでとう、美咲。